どこまでも続く針山 海底だった国立公園

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第6回は西部にある「ツィンギー・ドゥ・べマラハ国立公園」についてです。ツィンギーとは現地に住むサカラヴァ人の言葉で、「するどく尖ったもの」を意味するそうです。その名の通り、薄い靴底なら突き破りそうな侵食石灰岩の風景がどこまでも続いています。

 

第6回 どこまでも続く針山 海底だった国立公園

 

ツィンギー・ドゥ・ベマラハ国立公園
マダガスカル西部にあるツィンギー・ドゥ・ベマラハ国立公園

 

まるでナイフのように鋭く尖った岩山が地平線まで続いている。岩はとても固く、柔らかな靴底なら簡単に突き破るほどだ。恐る恐る岩と岩の間を覗いてみると、「ミニバオバブ」とも呼ばれる植物が黄色い花をつけ、岩のくぼみにひっそりと生えていた。

 

マダガスカル西海岸の町ムロンダバから北へ約200㌔。ぼくは「ツィンギー・ドゥ・ベマラハ国立公園」を訪ねた。ここは特異なカルスト地形が広がり、貴重な動植物が見られることから厳正自然保護区だった1990年、ユネスコの世界自然遺産に登録されている。

 

ベースキャンプとなるのはベクーパカ村だ。ここにある公園事務所で入園料を支払い、ガイドを雇う。公園を巡るコースはいくつかあるが、中でも人気があるのがグラン・ツィンギーコースだ。

 

コースの入口までは車で1時間半ほどかかった。森に入ると、全身白い毛に覆われ顔だけが黒いキツネザルが出迎えてくれた。ヘッドランプを頼りに洞窟を抜ける。そして断崖にかけられた長いはしごを登り展望台に出ると、どこまでも続く針山の大パノラマが広がった。

 

「どうです?すばらしい風景でしょう。ここはるか昔、海の底でした。それが次第に隆起し、長い年月をかけて雨で浸食され、このようになったそうです」とガイドのタタさん。岩だらけで乾燥した台地であるにもかかわらず動植物も豊富で、キツネザルは11種、植物は約600種近くが確認されていると話す。

 

最近では、飛行機に乗り、ツィンギーを空から眺めるツアーもある。今度行くことがあれば、ぜひ体験してみたいものだ。