石畳の道、歴史ある教会 欧州を思わせる首都の風景

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第7回は首都アンタナナリヴについてです。初めてアンタナナリブを訪れた時、コロニアル建築が立ち並ぶ町並みと東南アジア系の人々の姿に驚きました。ラジオから竹の楽器ヴァリーハの音楽も優しく、不思議な居心地の良さを感じたのを今も覚えています。

 

第7回 石畳の道、歴史ある教会 欧州を思わせる首都の風景

 

首都アンタナナリブ
階段が迷路のようにのびる首都アンタナナリブ

 

マダガスカルの首都アンタナナリボは、標高千㍍を超える中央高地に位置する。最も冷える8月には気温が一桁になることもしばしばだ。真夏の日本から行くと、思いがけない寒さに驚く。

 

冷えた朝には、この街を霧がすっぽりと包む。霧が晴れてくると、丘の斜面にびっしりと建ち並ぶレンガ作りの建物が現れる。最も高い場所に見えるのは女王宮で、かつてこの地を治めたメリナ人の女王が19世紀に建てた。まるでヨーロッパを思わせる町並みだ。

 

街の中心にあるのはアンタナナリブ駅からまっすぐにのびた「独立大通り」。大通りの両脇に、仏植民地時代に建てられたしゃれたアーケード街が残る。高級ホテルやカフェ、銀行、書店などが並び、1日中人通りが絶えない。

 

通りから歩いてすぐの所には「アナラケリ市場」がある。ここにも植民地時代に建てられた市場の建物が残り、米や肉、野菜を始め、衣類や携帯電話、薬草など、あらゆる店が軒を連ねる。人びとの暮らしを知るにはもってこいのところだ。

 

この街にはいくつもの丘が連なり、石畳の道や階段が迷路のように走る。年代物のフランス車が石畳の道を通り過ぎていく姿は、古い映画でも見ているようだ。土産物や軽食の露店が並ぶ階段を登っていくと、歴史を感じさせる教会やコロニアル建築が現れる。居心地の良いカフェも随所にある。歩くのが楽しくなる街だ。

 

アンタナナリブを訪れるなら10月頃がいい。日本で言えば初春で、ジャカランダの花が一斉に咲くのだ。街全体が薄紫色の花に包まれる様は、桜の日本にも負けないくらい美しい。