消えゆく森 再生へ保護活動

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最終回はマダガスカルの自然環境についてです。「第7の大陸」とも言われるマダガスカルは、東海岸には熱帯雨林、西海岸にはバオバブが立ち並ぶ乾燥した大地が広がるなど、多様な自然環境が見られる島です。ところが、ここ数十年でその貴重な自然環境が急激に悪化しています。その原因と保護の取り組みについて紹介します。

第15回 消えゆく森 再生へ保護活動

サカラヴァ族の少女と焼き払われた森

飛行機に乗り、上空からマダガスカルを眺めると、その多様な風景に驚く。東海岸地方には深い熱帯雨林が広がり、中央高地には巨岩が露出した丘陵が連なる。西海岸地方は赤茶色の乾燥した大地にバオバブが点在する。さらに乾いた南部では、幹がとげに覆われた「ディディエレア科」などの珍しい植物が、世界でもここだけにしかない森を形成する。

僕がこの島に通い始めた1990年に比べると、風景は大きく変わった。東海岸地方の森は伐採されてまだらになり、中央高地の丘陵は雨で崩れ、無惨な姿をさらしている。西海岸地方や南部の森も焼き畑のため大規模に失われ、焼けこげたバオバブだけが寂しく立つ景色をよく見る。

大きな原因の一つは、人口の急増と言われている。1990年、国連のデータでは約1155万人だった人口は、2015年には約2424万人となり、2倍以上に増えた。人々は食料を確保するため森を切り開き、田畑を広げてきた。煮炊きには薪や木炭も必要で、木を切らざるを得ない。このまま伐採を続けると、数十年後には森がなくなってしまうのではないか、ともいわれている。

こうした現状に歯止めをかけようと世界のNGOが地元の人々と協力し自然保護の活動を行っている。日本のNGOでは「ボランティア サザンクロス ジャパン協会」が南部で、「日本アイアイ・ファンド」は北西部で森の保全や再生に取り組む。

動植物の宝庫として知られ、東南アジア、アフリカ、アラブの要素が融合し、独自の文化を持つ人々が暮らすマダガスカル。果たしてこの島はどのように変化して行くのか。今後も、見つめ続けてゆきたいと思っている。