深刻な食糧不足が続くマダガスカル南部

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マダガスカル南部を旅していると、幹に四角い穴の空いたバオバブをよく見かけます。この地域の多くは年間降雨量が500ミリ以下。人々はバオバブの幹をくり抜き、雨期に降ったわずかな雨を溜め、貯水タンクとして利用しているのです。

 

数年前、昔撮影したことのある穴の空いたバオバブを訪ねたところ、近くに住みそれを利用していたマハファリ人の家族はもういませんでした。ドライバーは、「このところ天気が不安定で、雨期に雨の降らないことが多いんだ」と話していました。もしかすると水を求めて、他の場所へ移動したのかもしれません。

 

水をためるため、幹に穴が開けられたバオバブ。南部の町ベティウキ郊外
水を溜めるため、幹に穴が開けられたバオバブ。南部の町ベティウキ

 

先日、ニューヨークタイムズを見ていると、この気候変動を裏付けるような記事が出ていました。それによると、マダガスカル南部で数年前から雨不足による凶作が続き、この地域に住む人々の半分以上(約84万人)が深刻な飢えに苦しんでいるそうです。動画では、主食のトウモロコシやキャッサバが収穫できず、サボテンをゆでて食べる人々の映像が流れていました。栄養失調なのか、お腹がぽんと膨らんだ子供もいます。

 

雨不足の原因はエルニーニョ現象で、人為的要因により引き起こされた気候変動がこの現象を激化させているそうです。自分も含め、豊かな国の排出する二酸化炭素が、遠く離れたマダガスカルの気候にも影響を与えているとは。これはショックでした。

 

マダガスカル南部の食糧不足はもう3年も続いています。昨年、南部を旅してきた友人は、町に物乞いがだいぶ増えたと手紙に綴っていました。果たしてあのマハファリ人の家族は無事、暮らしているでしょうか。バオバブのあったベティウキ周辺の天気予報を見ると、来週少し雨が降った後はずっと晴れ。もしかすると再来週には雨期明けかもしれません。今年の収穫がとても気になります。