想像力かき立てる木 幹回り30㍍も

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第2回は、南西部にある島内最大のバオバブや南部にある樹齢3000年のバオバブなど、マダガスカルの多様なバオバブについて書いてみました。ムルンダヴァ郊外の「バオバブ街道」ばかりではない、ユニークなバオバブたちを紹介しています。

 

第2回 想像力かき立てる木 幹回り30㍍も

 

アンダヴァドアカ郊外にあるバオバブの森
南西部アンダヴァドアカ郊外にあるバオバブの森

 

マダガスカルは「バオバブの島」と言われる。世界にある約10種のバオバブのうち、8種類がマダガスカルで見られるからだ。

 

個性的な形のバオバブを見るのであれば断然、南部がおもしろい。南西部最大の町トゥリアラの北約200㌔にあるムルンベ。この町から南へ1時間半ほど車で進むと、真っ白な塩の大地の向こうにバオバブの森が現れる。木の幹は赤茶色で、高さが4〜5㍍ほど。幹が異様に太くてずんぐりとしており、まるでワイン樽のようだ。

 

ムルンベの近くにはマダガスカル最大と言われるバオバブもある。場所はムルンベの北約30㌔にあるアンドンビーリ村だ。

 

巨大なバオバブがいくつも立ち並ぶ森を四輪駆動車で1時間半ほど走ると、ようやくその村にたどり着いた。バオバブは村の入口近くに立っていた。背も高いが、幹が驚くほどに太い。「幹回りは30㍍ありますよ」と案内してくれた村人。彼によれば、この木には精霊が棲んでおり、何か願い事があると占い師とともにこの木の前に集まり、儀礼を執り行うのだという。

 

トゥリアラの南約80㌔にあるツィマナンペツツァ湖。フラミンゴが舞うこの湖周辺もまたバオバブの宝庫だ。中でもひと際目を引くのが「おばあさんバオバブ」である。幹全体に深いしわが刻まれており、まさに老婆を思わせる姿をしているのだ。木自体はそれほど大きくないが、樹齢は何と三千年だという。

 

途方もない長い年月を生きてきたバオバブは、果たしてどんな風景を見つめてきたのだろうか。バオバブは想像力をかき立てる木である。