第4回はマダガスカルの料理についてです。牛、豚、鶏、魚と素材も豊富で、野菜と合わせた煮込み料理が自慢です。フレンチやイタリアンの高級レストランもありますが、「ホテリー」と呼ばれる大衆食堂で食べるマダガスカル料理はなかなか味わい深いものがあります。
第4回 味わい深い煮込み料理 大衆食堂で堪能
マダガスカルの大衆食堂、ホテリー。牛肉、鶏肉、豚肉、魚と様々なメニューが並ぶが、日本人が最もなじみやすいは「鶏肉のスープ煮」かもしれない。地鶏を塩とショウガを入れて煮込んだ料理で、地鶏から出たコクのあるスープと歯ごたえのある肉がたまらない。マダガスカルの人びとはこのスープを少しずつご飯にかけ、豪快に流し込む。鶏肉では「トマトソース煮」も捨てがたい。マダガスカル人に聞くと、この料理が一番好きだという人も多いほどだ。
人より牛の数が多いマダガスカルでは、牛肉が最も一般的な食材だ。ぶつ切りにした牛肉に塩を加えて煮込んだ料理はどの店でも味わえる。肉は少々堅いが、煮汁をご飯にかけながら食べればいくらでもご飯が進む。炭火で焼く「牛肉の串焼き」も値段が安く、うまい。
店主にお勧めの料理を聞くと、必ず勧められるのが「豚肉とキャッサバの葉の煮込み」だ。コッテリとした豚肉とほろ苦いキャッサバの葉がよく合う。マダガスカルに来たなら、一度は試してみたい味だ。
中華麺の「スープ・シノア」も人気だ。植民地時代に移住してきた中国人が持ち込んだもので、あっさりしたスープに柔らかめの麺が入り、その上に細切りの錦糸卵やチャーシュー、ネギがのる。脂っこい料理で胃が疲れたときにはこれに限る。
マダガスカル料理は煮込みが多く、味付けもシンプルだ。ところが素材本来がもつ深い味わいがあり、ついついまた食べたくなる。旧宗主国フランスの料理も手軽に味わえるが、ぜひホテリーも訪ねてみてほしい。ここに入れば、庶民の味が堪能できる。