ゴムタイヤの鉄道 のんびり走り半世紀

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第12回はマダガスカルを走るゴムタイヤの鉄道車両、「ミシュリーヌ」です。フランスのタイヤメーカー、ミシュランが作った車両で、現在も走っているのはマダガスカルだけだと言います。

 

第12回 ゴムタイヤ鉄道 のんびり走り半世紀

マンザカンディアナ駅に到着したミシュリーヌ
マンザカンディアナ駅に到着したゴムタイヤの鉄道車両、ミシュリーヌ

 

真っ白に塗装されたボンネット型の鉄道車両が、田園地帯をゆっくりと走っていく。フランスのタイヤメーカー、ミシュランが作ったディーゼル気動車「ミシュリーヌ」だ。

 

最も特徴的なのは、車輪がゴムタイヤでできていること。1930年代にフランスで製造が始まり、マダガスカルにも導入された。こうして現役で走り続けているケースは、他にはないだろう。

 

ミシュリーヌを運行するのは、マダレイルという民間の鉄道会社だ。首都アンタナナリボのターミナル、スアラーヌ駅構内に、チケット売り場や事務所がある。訪ねてみると、社員のヨニーさんが「フランス人、アメリカ人、日本人など、貸切りで利用する方が多いですね。お客さんが集まればいつでも出発します」と説明してくれた。

 

運行しているのはアンタナナリボーアンツィラベ間、アンタナナリボータマタブ間の2路線。中央高地のアンツィラベはコロニアル建築が残る避暑地として知られ、温泉も楽しめる。東海岸のタマタヴへ行く途中にあるアンダシベには国立公園があり、キツネザルを見ることも可能だ。客の希望により、短距離の運行にも応じるという。

 

車内はトウの椅子が並べられ、リラックスした雰囲気が演出されていた。後方にはミニバーがあり、各種飲み物も楽しめる。車両には乗務員が乗り込み、朝食や昼食のサービスも行う。

 

半世紀以上も前に製造された車両だが、整備が行き届いているせいか、乗り心地も悪くない。突き上げるような縦揺れがないのは、タイヤメーカーのなせる技だろうか。時速約50㌔でのんびりと走るミシュリーヌ。マダガスカルは鉄道好きにとっても楽しめる島だ。